AIに「〜しないで」は通じるか|ChatGPT・Gemini・Grokで眼鏡・笑顔・文字・メイクを消してみた
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画像生成AIに「眼鏡なし(no glasses)」「笑わないで(don’t smile)」と書くと、ChatGPT・Gemini・Grok の3つとも、12枚すべてで眼鏡と笑顔が消えました。効かなかったのは「文字なし(no text)」で、商店街の看板の文字は、Gemini と Grok の8枚すべてに残っています。
人の顔や持ち物につく物は「〜しないで」で消せて、場面が呼び込む物(商店街の看板)は消せない、という分かれ方でした。看板の文字は、場所の書き方ごと変えたら消えています。
先に結論:消えたもの・消えなかったもの
1つの言葉につき、ChatGPT・Gemini・Grok で4枚ずつ、計12枚を作って比べました。「否定」は消したい物に no や don’t を付けた書き方、「肯定」は消したあとの姿を言葉にした書き方です。
| 消したかったもの | 書いた言葉 | ChatGPT | Gemini | Grok |
|---|---|---|---|---|
| 眼鏡 | 否定:no glasses | 消えた | 消えた | 消えた(書かないと4枚とも眼鏡) |
| 眼鏡 | 日本語:眼鏡はかけないで。 | 消えた | 消えた | 消えた |
| 笑顔 | 否定:don't smile | 消えた | 消えた | 消えた。目線が横にそれた |
| 看板の文字 | 否定:no text | ほぼ消えた(遠くに小さく残る) | 消えなかった | 消えなかった |
| 看板の文字 | 肯定:無地の壁の前に場所ごと変える | 消えた | 消えた | 3枚に標識の文字が出た |
| メイク | 否定:no makeup | 消えた | もともと薄く、変化は小さい | ほとんど変わらない |
| メイク | 肯定:素肌・塗っていない唇と眉 | 消えた | 消えた | 消えた |
「否定形で書くと、かえってそれが出る」とよく言われますが、今回の3つのツールでは、眼鏡も笑顔もそうはなりませんでした。困るのは、看板のように場面とセットで描かれる物のほうです。
試し方
Google の画像生成の公式ガイドには「no cars と書くより、an empty, deserted street(人けのない道)と書く」とあり、否定ではなく肯定で書くように勧めています。じゃあ実際、否定で書いたらどのくらい効かないのか。眼鏡・笑顔・文字・メイクの4つで、3つのツールに同じプロンプトを渡して確かめました。
| ツール | 使ったもの |
|---|---|
| ChatGPT | Images 2.5(ChatGPT の画像生成) |
| Gemini | Nano Banana 2.1(Gemini API から。1K・2:3) |
| Grok | Grok Imagine(SuperGrok の契約で) |
Gemini は、アプリではなく API(プログラムから呼ぶ窓口)で作っています。アプリだと Gemini のAIが間に入るので、プロンプトがそのまま画像のAIに届いたかを確かめにくいからです。Grok も、プロンプトを書き換えずに渡したことを、毎回の記録で照らしました。
ちなみに API は無料枠が無く、Gemini の分は1枚5円くらい。作り直しも入れて69枚、350円ほどかかりました。
作例は、どれも同じ20歳の人物像で、消したい物ごとに場所を変えています。眼鏡は図書館、笑顔はカフェのテラス、文字は商店街、メイクはスタジオ。大きさは全部 2:3 の縦長です。
眼鏡:no glasses で、3つとも消えた
まずは何も書かないベース。図書館で勉強する知的な雰囲気(smart intellectual look)にしました。眼鏡が出てきそうな場面を、わざと作っています。
何も書かないベース:smart intellectual look の図書館












おお、Grok だけ4枚とも眼鏡。しかも1枚目は、かけているのに机の上にもう2本転がっています。知的と言われたら眼鏡、という思い込みが一番強いのが Grok でした。ChatGPT と Gemini は、4枚とも眼鏡なしです。
ここに no glasses を足します。言葉に出したら、かえって眼鏡が出るんじゃないか? というのが、この企画の一番の心配でした。
否定で書いたベースに足した言葉:no glasses












・・・あっさり消えました。Grok の4枚からも眼鏡が消えて、机の上の眼鏡もありません。言葉に出したものに引っ張られるどころか、3つとも素直に聞いてくれます。
念のため、肯定の書き方(何もつけていない素顔)も試しました。
肯定で書いたベースに足した言葉:bare face with nothing on it












こちらも12枚とも眼鏡なし。眼鏡については、否定でも肯定でも結果は同じでした。
笑顔:don’t smile で、3つとも笑わなくなった
ベースは、晴れた朝のカフェのテラス。笑えとは書いていませんが、こういう場面だと3つとも笑わせてきます。
何も書かないベース:朝のカフェのテラスでラテを持つ












予想どおり、12枚とも笑顔。Gemini と Grok は口を閉じたやわらかい笑み、ChatGPT は口角をしっかり上げた笑顔です。
否定で書いたベースに足した言葉:don't smile












笑顔が12枚とも消えました。ChatGPT は唇を少し開いた、ちょっと物憂げなモデル顔に。Grok はおもしろくて、4枚とも目線が横にそれて、遠くを見つめる横顔になりました。笑わないでと言われて、カメラから目をそらしたみたいです。
肯定で書いたベースに足した言葉:serious expression, closed lips












肯定で「真顔・口を閉じる」と書いても、12枚とも笑っていません。違いは真剣さの度合いで、ChatGPT はキリッとした真顔、Gemini と Grok は少し眉が寄った、考えごとをしている顔です。
文字:no text は、Gemini と Grok で効かなかった
ここからが本番でした。ベースは、看板が並ぶ東京の商店街のカフェの前(shopping street lined with shop signs)。
何も書かないベース:看板が並ぶ商店街のカフェの前












12枚とも、看板・黒板・のれんに文字がびっしり。Grok は「Café Lumière」「雑貨」「アクセサリー」まで、読める文字をどんどん描いてきます。
否定で書いたベースに足した言葉:no text












全然消えねー・・・。Gemini は日本語の看板がベースとほぼ同じだけ並び、Grok は「CAFE LUNE」「雑貨」「VINTAGE」「美容室」と、看板の数も変わりません。ChatGPT だけは手前の看板をどけて、遠くの看板に小さな文字が残る程度まで減らしてくれました。
商店街と書いた時点で、看板と文字はセットで描かれます。そこに no text を1語足しても、場所の言葉のほうが強く、文字が残るんだと思います。
直し1:場所ごと、無地の壁の前に変えた
Google のガイドどおり、「文字がない場所」を言葉にしました。商店街をやめて、静かな通りのクリーム色の無地の壁の前(plain cream-colored wall on a quiet Tokyo street)にしています。
直したあと場所を書き換えた:standing in front of a plain cream-colored wall on a quiet Tokyo street












ChatGPT と Gemini は、8枚とも文字が消えました。Grok は、壁はちゃんと無地なのに、壁に貼った「注意」の看板、「一方通行」の標識、「注意 電気」のプレートと、4枚のうち3枚に文字の入った標識を描いてきます。東京の通りと書いたら、標識は外せないらしい・・・。
直し2:商店街のまま、看板を無地の板にした
それでも、商店街の雰囲気は残したい。そこで、看板もひさしも全部、無地の色の板(every signboard and awning is a plain solid-color panel)と書きました。
直したあと看板を書き換えた:lined with blank shop signs, every signboard and awning is a plain solid-color panel












キタ!ChatGPT と Gemini は、色の板が並ぶ、ちょっとアートな商店街になりました。読める文字はほぼありません。Grok は大きな看板こそ無地になったものの、ドアの「OPEN」、窓の「Takiro Co」、のれん、紙袋の「銀座」と、小物のほうに文字を逃がしてきます。
ここまでやって、Grok の文字はゼロにできませんでした。Grok で文字を消したいときは、看板が写らない構図(寄りの写真・無地の背景)にしてしまうのが早いと思います。
メイク:no makeup は、ChatGPT だけはっきり効いた
ベースは、グレーのスタジオでのビューティーポートレート(beauty portrait)。メイクについては何も書いていません。
何も書かないベース:スタジオのビューティーポートレート












ChatGPT は、つやのある唇にしっかりめのメイクで、グラビア誌の表紙のような顔。Gemini と Grok は、もともと薄めのナチュラルメイクです。
否定で書いたベースに足した言葉:no makeup












ChatGPT は分かりやすく変わりました。唇のつやが消えて、そばかすの見える素肌に。Gemini はもともと薄いので、並べてやっと分かるくらいです。Grok は、ピアスもネックレスもそのままで、唇のピンクも残り、ベースとほとんど同じ顔に見えます。
肯定で書いたベースに足した言葉:fresh bare skin with visible natural texture, natural unpainted lips, natural untouched eyebrows












肯定で「素肌・塗っていない唇・手を入れていない眉」と書くと、Grok もはっきり素顔になりました。アクセサリーも減って、証明写真のような素の顔です。メイクを消したいなら、no makeup の1語より、素の状態を部分ごとに書くほうが確実でした。
日本語で「眼鏡はかけないで」と書いても通じた
最後に、プロンプトを丸ごと日本語にして、最後に「眼鏡はかけないで。」と書きました。英語のベースと同じ、知的な雰囲気の図書館です。
日本語で書いたプロンプトを日本語にして、最後に:眼鏡はかけないで。












12枚とも眼鏡なし。英語のときに4枚とも眼鏡をかけた Grok も、日本語の「かけないで」でちゃんと外しています。3つとも、日本語の否定も英語と同じように読めていました。
Grok だけ、4枚とも本に目を落とした伏し目になったのはおもしろいところ。日本語にすると、同じ内容でも雰囲気の読み取り方が少し変わるようです。
効く「しないで」と、効かない「しないで」の違い
168枚を並べてみて、分かれ目は「消したい物が、どこから来ているか」でした。
- 眼鏡・笑顔のように、人物の顔や持ち物につく物:no glasses・don’t smile の否定で3つとも消えた
- 看板の文字のように、場所の言葉が呼び込む物:no text では消えない。場所の書き方ごと変えると消えた
AIは、プロンプトの言葉から「そういう写真にありがちな物」をまとめて描きます。商店街なら看板と文字、知的な図書館なら(Grok にとっては)眼鏡。人物につく物は1語で外せますが、場面とセットの物は、場面の言葉が残っている限り戻ってきます。消えないときは、消したい物を連れてくる言葉のほうを書き換えるのが近道でした。
メイクは、その中間にあたります。顔につく物ですが、ビューティーポートレートという言葉がメイクを連れてくるので、no makeup の1語では Grok の顔が変わっていません。
ツールごとの性格も見えています。ChatGPT は否定をいちばん素直に聞き、no text でも手前の看板をどけてくれました。Gemini は人物については素直で、場面の文字には弱い。Grok は、言われていない物(眼鏡・文字・アクセサリー)を一番足してくるツールで、メイクは肯定で書いてやっと消え、文字は最後まで残っています。
よくある質問
画像生成AIに「〜しないで」は通じる?
ChatGPT・Gemini・Grok の3つでは、眼鏡と笑顔は no glasses・don’t smile の否定で12枚すべて消えました。通じにくいのは、看板の文字のように場所の言葉とセットで描かれる物です。no text は、Gemini と Grok で消えませんでした。
否定形で書くと、かえってそれが出るのは本当?
今回の眼鏡と笑顔では、そうはなりませんでした。no glasses と書いたあと、眼鏡は1枚も出ていません。ただ、文字のように場面が呼び込む物は、否定で書いても残るので「効かない」とは感じやすいと思います。
文字を入れたくないときは、どう書けばいい?
文字が出る場所の言葉を、文字の無い場所に書き換えます。商店街の前を「無地の壁の前」にしたら、ChatGPT と Gemini は8枚とも文字が消えました。Grok は標識や小物に文字を描きやすいので、背景を写さない構図にするのが早いと思います。
ChatGPT にはネガティブプロンプトの欄がない?
ChatGPT・Gemini・Grok には、ComfyUI のような「ネガティブプロンプト」の入力欄はありません。消したい物は、ふつうのプロンプトの中に「no 〜」か、消したあとの姿で書きます。
消したいものから選ぶ書き方
| 消したいもの | 書き方 | この記事での結果 |
|---|---|---|
| 眼鏡 | no glasses(日本語の「眼鏡はかけないで」でも可) | 3つとも12枚すべて消えた |
| 笑顔 | don't smile/serious expression, closed lips | 3つとも12枚すべて消えた。Grok は否定だと目線がそれる |
| 背景の文字 | 場所を無地の物に書き換える(plain wall・plain solid-color panel) | ChatGPT・Gemini は消えた。Grok は標識や小物に残る |
| メイク | fresh bare skin, natural unpainted lips, natural untouched eyebrows | 3つとも素顔になった。no makeup だけだと Grok は変わらない |
| Grok が勝手に足す物 | 消したあとの姿を肯定で書く・その物が写らない構図にする | 眼鏡は否定で消えた。文字はゼロにならなかった |





